第57回ラグビーの大学選手権決勝カードは早稲田大学対天理大学。

早稲田は前年度の大学チャンピオンで今季は対抗戦は明治に次ぐ2位。しかし、過去最多16度の優勝を誇る大学ラグビー界の盟主。今シーズンも有力な優勝候補です。

一方の天理大学は関西リーグ5連覇も昨年は早稲田相手に準決勝で14-52と大敗。セットプレーが安定せずほとんど自滅といってもよい敗戦。
今回は雪辱は晴らすには十分の決勝での対決です。

実力的には天理がリードしていると思われましたが、それは昨季も同じ。
今回も接戦になると天理が厳しいと思われましたが試合は序盤に得点を挙げるとその後も終始天理がリード。

主導権を一度も相手に渡すことなく、セイフティーリードのまま試合を終えました。

早稲田は大学屈指のバックス陣です。
天理からも28得点をあげ、実力の片鱗を見せましたが、接点では劣勢に回ることが多く、なかなか前に出ることができていませんでした。

河瀬選手が再三ブレークをし、長田選手も強さを見せていましたがバックス陣では目立っていたのほぼこの2人のみ。
古賀・槇・伊藤選手も何度か見せ場を作りましたが試合を左右するまでには至りませんでした。

一方の天理は、キーマンのフィフィタ選手が躍動。
自ら突破を試みることもあれば、パスにキックと終始ディフェンスを翻弄していました。

また、このフィフィタの動きをよく捉え、4トライをあげた市川選手もこの試合のキーマンといえます。

試合は結局55-28と決勝としては過去最多得点で大勝。天理が初優勝を決めました。

大学ラグビーは長らく東高西低が続き、57回の歴史で関西チームの優勝は同志社大学4回のみ。
決勝進出も同志社6回、今回も含め天理の3回のみと関東のチームが圧倒していました。

天理は立川、井上、ヴァイフ、ハベアと強力なバックス陣を擁した頃から優勝を狙えるチームとなってきましたが、関東の厚い壁をなかなか越えることができませんでした。

もっとも優勝に近いと思われたのが、今回最終学年の松永、藤原、フィフィタ選手が2年目の第55回大会の明治との決勝です。
この試合、出下馬評は天理有利も序盤に主導権も握られると徐々に失点。
後半本来の動きを取り戻し播きしましたが、最後はフィフィタのノックオンで試合終了。

勝てる試合を落としてしまいました。

今回も本来の動きを出せるのかは未知数でしたが、過去の経験が生きたのかもしれません。
時折ミスをしながらも自分たちのラグビーを終始実践。
早稲田を圧倒しての優勝をつかむことができました。

長年関東の後塵を拝してきた関西ラグビーの面目躍如となりました。

今季はコロナ禍により、通常のシーズンとは異なり、難しい試合を余儀なくされました。
特に天理は夏にクラスターが発生し、練習もままならない時期を過ごしていたと思います。

その中での優勝は喜びもひとしおでしょう。

天理の優勝で今季の大学ラグビーも幕を閉じました。

有力選手が抜ける天理が今季の強さを継続できるのかは未知数ですが、来季も強いチームを作り上げてくれることでしょう。

一方の早稲田は今季の主力の多くが残留します。明治、帝京とともに優勝争いに絡んできそうです。

関西では大学屈指のバックス陣を擁す同志社も楽しみです。
ただ、同志社が優勝争いに絡んでくるためにはFW陣の強化が不可欠でしょう。

来季はディフェンディングチャンピオンの天理を筆頭に、明治、早稲田、帝京、東海が中心になってきそうです。
ここに、慶応、筑波、流通経済、同志社がどこまで食い込めるかといったところでしょうか。

今シーズンは終わったばかりですが、今から春シーズンが楽しみです。

来季も白熱した試合を見せてもらいたいですね。